キノコ1 (3)
大学時代は寮住まいであった。下の階に住むある学生の実家が地主で、松茸山を持っていた事から、その年の秋は豊作だったせいもあり、「皆さんでどうぞ」ということで、大量の松茸が送られてきた。じつに羨ましい話である。寮は、日曜祝日を除き朝夕の食事が出るので、松茸は、平日の夜食や日曜の自炊、飲み会の料理等に使われ、好評だったようである。松茸が何本も入った即席ラーメンというのも、あったかもしれない。それでも、まだまだ残っていたようで、最後の方は、誰にも見向きされず、箱の底で半腐れ状態で悲しく干からびていたそうである。この話を聞いた時、そうなる前に一言声を掛けてくれればと思ったものである。 今の所、松茸を嫌と…